ジオ農地

農地ナビと併用する「条件から探す」地図検索の使い方 — 役割分担と目的別の手順

最終更新: 2026-08-23

農地を業務で探すとき、最初に開くのは農林水産省のeMAFF農地ナビでしょう。 市町村を選んで地図を開けば、区画ごとの公的な農地台帳の情報を確認できる、唯一の公式窓口です。 ただ、実務で先に知りたいのは「どの区画から当たるべきか」です。 傾斜が緩いか、道路に接しているか、浸水想定に入っていないか、周囲の農地とまとまっているか、 地域に借り手がいるか——こうした台帳にない条件で候補をふるいにかけてから 農地ナビで1筆ずつ確認する、という順番にすると初動調査の時間が大きく変わります。

この記事は、農地ナビ=公式情報の確認ジオ農地=条件での机上スクリーニングと比較 という役割分担で両者を併用する手順を、目的別にまとめたものです。 どちらかを置き換える話ではなく、順番と使いどころの話です。

役割分担 — 農地ナビで確認すること、条件検索で絞ること

農地台帳の正確性・権利関係・遊休農地の判定は、eMAFF農地ナビと農業委員会が持つ情報が正です。 ジオ農地はそこを代替しません。ジオ農地が扱うのは、筆ポリゴンに国土数値情報・衛星画像・農林業センサスなどの 公的オープンデータを重ねた参考情報で、目的は「次にどの区画を確認するか」を決めることです。

eMAFF農地ナビ(農林水産省) ジオ農地の地図検索・スクリーニング
確認できること 区画ごとの公的な農地台帳の情報(市町村を選び、地図上の区画を選んで閲覧する) 面積・地目(田/畑)・傾斜・接道(参考)・災害想定(洪水浸水想定・土砂災害警戒区域)・ 農振/農用地区域・都市計画区域・最寄り駅までの距離・土壌タイプ・利用状況(衛星推定)・ 集落の借り手動向と高齢化・後継ぎ状況・まとまり(一団の農地)・推定地番(候補)
できないこと 複数の条件を横断して候補をふるいにかける、複数市町村をまとめて比較する、候補リストを出力する 台帳の正確性・権利関係・遊休農地の判定・所有者の意向・転用や取得の可否(いずれも示さない)
向いている場面 候補が決まった後の公的情報の確認、窓口相談の前の下調べ 候補が決まる前の机上スクリーニング、複数候補の比較、相談に持ち込む一覧の作成
データの性質 公的な台帳情報(最新性・正確性の確認は同サイトと農業委員会へ) 公的オープンデータを加工した参考情報。整備状況は県で異なる(データ整備状況)

※ 農地ナビの画面構成や掲載項目は同サイトで直接ご確認ください。本記事では操作の一般的な流れのみ触れ、 同サイトのデータの転載はしていません。

併用の基本手順 — 「絞る → 確認する → 相談する」

  1. 条件で絞る(ジオ農地)農地を探すで市町村を選び、面積・地目・傾斜・接道・災害想定などの条件を指定して 候補区画を地図上に出す。区画をクリックするとスコアカードに条件の根拠となる値と出典が並びます。 業務で複数市町村をまたぐ場合は候補地スクリーニングへ。
  2. 公的情報を確認する(農地ナビ) — 候補ごとにeMAFF農地ナビ ↗で 同じ場所を開き、台帳の情報を確認する。ジオ農地のスコアカードから農地ナビへのリンクと、 推定地番をコピーして農地ナビの地番検索に貼り付けるボタンを用意しているので、位置合わせの手間は小さくて済みます (手順は農地ナビで地番が地図に出ない・現在地で見られないときの対処)。 農振・都市計画は市町村の担当課でも確認できます。
  3. 窓口に相談する — 候補の一覧(区画の位置・面積・確認したい点)を持って、農業委員会・農地バンク(農地中間管理機構)に相談する。 借り手がいる地域かどうか、地域計画にどう位置付けられているかは窓口で分かります。

ポイントは1と2の順番を入れ替えないことです。先に農地ナビで1筆ずつ見ていくと、 条件に合わない区画の確認に時間を使ってしまいます。先に条件で候補を絞れば、農地ナビで確認する件数が減り、 窓口に持ち込む候補も具体的になります。

目的別の手順

① 借りたい(個人・法人)

  1. 農地を探すで希望の市町村を選び、面積・地目・傾斜を指定する。 通いやすさを見るなら「最寄り駅までの距離」、機械を入れるなら「接道」を加える
  2. 農地の借り手がいる地域か」と「集落の高齢化・後継ぎ状況」(いずれもベータ)で 地域の傾向を見る。借地が増えている集落は貸借の調整が進んでいる可能性があり、相談の糸口になります
  3. 候補区画の利用状況(衛星推定)を見て、非耕作の可能性がある区画に当たりを付ける(あくまで推定)
  4. 候補ごとに農地ナビで公的情報を確認し、農業委員会・農地バンクに相談する。個人の新規就農なら新規就農相談窓口も入口になります

借りる手続きそのものは利用権設定と農地バンクの使い方に、 相談先の探し方は就農相談の進め方にまとめています。

② 集約したい(農業法人)

  1. 候補地スクリーニングで対象の市町村を選ぶ(県をまたいで複数可。目安30市町村まで)
  2. 用途で「農業法人: 集約候補」を選ぶ。まとまり(一団の農地)・非耕作の推定・接道・傾斜・ 物理条件(営農活用スコア・試作)・集落動向の条件ごとに一致/要確認が並びます。 まとまりの下限(ha)を変えると、連坦した候補だけに絞れます
  3. 候補は「まとまり」単位のカードで表示されるので、案件(候補リスト)に入れてCSVで出力し、社内共有や窓口相談の資料にする
  4. 候補ごとに農地ナビで公的情報を確認し、地域計画との関係を農業委員会・農地バンクに相談する

集約候補では「一団でどれだけまとまるか」と「地域で貸借が動いているか」を先に見て、 台帳の確認はその後に回すのが効率的です。農業法人向けの全体像は農業法人向けページへ。

③ 再エネ用地を探す(営農型太陽光など)

  1. 候補地スクリーニングで対象の市町村を選ぶ
  2. 用途で「再エネ: 用地一次スクリーニング」を選ぶ。農振/農用地区域・都市計画区域・傾斜・災害想定・ 接道・冬季日照(地形)・まとまり・利用状況の条件ごとに一致/要確認が並びます。 初期条件は農用地区域(青地)を除く・緩傾斜・土砂災害警戒区域と重ならない、になっています
  3. 候補をCSVで出力し、候補ごとに農地ナビで公的情報を確認する
  4. 農地区分・転用の見込みは農業委員会と市町村の農政担当課で確認する(ジオ農地では判定しない)

再エネ用地は「除外条件を先に当てる」と候補が早く絞れます。農振・都市計画は国土数値情報(都市計画決定GISデータ) に基づく参考情報で、市町村の最新の指定と食い違う可能性があるため、必ず担当課で確認してください。 再エネ事業者向けの全体像は再エネ事業者向けページへ。

④ 自分の農地を確認したい(所有者)

  1. eMAFF農地ナビ ↗で市町村を選び、 自分の農地の位置を開いて公的な台帳の情報を確認する(ここが正)
  2. 農地を探すで同じ場所を開き、スコアカードで傾斜・接道・災害想定・農振・ 「農地の借り手がいる地域か」を見る。貸す・売る・手放すのどれが現実的かの材料になります
  3. 農地の出口チェック(無料・5問)で、売る・貸す・転用・手放すのうち現実的な選択肢を整理する
  4. 結論が「貸す」なら農地バンク、「売る・手放す」なら農業委員会・市町村に相談する

所有者の立場では、農地ナビで台帳の情報を確認したうえで、ジオ農地を「うちの地域は借り手がいるのか」 「条件から見てどの出口が現実的か」の整理に使う、という分担になります。 詳しくは農地バンクに貸すには農地を売りたいへ。

ジオ農地の検索条件でできること・できないこと

農地を探す候補地スクリーニングは同じ検索条件を共有しています。 使える条件と、その性質は次のとおりです。

一方で、権利関係・所有者の意向・遊休農地の判定・転用や取得の可否はジオ農地では扱いません。 これらは農地ナビと農業委員会で確認する領域です。また、条件ごとの判定は「一致/要確認/不一致/データなし」と その根拠の値を出すだけで、合算のスコアで順位を断定することはしていません。

注意点 — 併用でつまずきやすいところ

  1. 整備状況は県で異なる — 基礎属性は全国ですが、拡張属性・衛星推定・初動調査属性の整備段階は県によって違います。 条件を指定しても件数が出ない場合はデータ整備状況で対象の県の段階を確認してください
  2. 区画の形と位置は筆ポリゴンの精度 — 筆ポリゴンは衛星・航空写真から作成された区画で、登記の筆界や台帳の1筆と一致するとは限りません。 農地ナビで同じ場所を開く際は、周囲の地形・道路で位置を照合してください
  3. 推定・ベータの条件は「当たりを付ける」用途に限る — 利用状況(衛星推定)・集落指標・推定地番・営農活用スコア(試作)は参考値です。 候補を狭める入口には有効ですが、候補を捨てる根拠にするときは農地ナビと現地で裏を取ってください
  4. 窓口相談の前に候補を一覧にする — 農業委員会・農地バンクへの相談は、区画の位置・面積・確認したい点が一覧になっていると進みます。 候補地スクリーニングのCSV出力・案件(候補リスト)はそのために用意しています
  5. 所有者情報は扱わない — ジオ農地は所有者・耕作者の情報を持たず、区画と所有者を結び付ける使い方はできません。 所有者への連絡は農業委員会・農地バンクを介する正規の手順で行ってください

よくある質問

農地ナビで条件から探すには?

eMAFF農地ナビは市町村を選んで地図を開き、区画を選ぶと公的な農地台帳の情報を確認できる公式サイトです。一方、傾斜・接道・災害想定・衛星による利用状況の推定・集落の借り手動向といった台帳にない条件を横断してふるいにかける作業は、ジオ農地の「農地を探す」(/search/)や業務向けの候補地スクリーニング(/tools/screening/)が向いています。条件で候補を絞ってから、区画ごとに農地ナビで公的情報を確認する、という順番で併用するのが効率的です。

農地はどうやって探せばいいですか?

大きく3段階です。(1)机上で候補を絞る: 地図検索で市町村・面積・地目・傾斜・接道・災害想定・利用状況などの条件から候補区画を選ぶ。(2)公的情報を確認する: 候補ごとにeMAFF農地ナビで台帳情報を、市町村で農振・都市計画を確認する。(3)窓口に相談する: 農業委員会・農地バンク(農地中間管理機構)に候補を持ち込み、貸借・取得の可能性を相談する。個人で借りたい場合は新規就農相談窓口も入口になります。

ジオ農地の地図は農地ナビの代わりになりますか?

なりません。ジオ農地は筆ポリゴンなどの公的オープンデータを組み合わせた参考情報で、農地台帳の正確性・権利関係・遊休農地の判定はeMAFF農地ナビと農業委員会に委ねています。ジオ農地の役割は「どの区画を先に確認すべきか」を条件から決めることで、公式情報の確認は農地ナビと窓口で行ってください。

推定地番や利用状況(衛星推定)はどの程度信頼できますか?

推定地番は登記所備付地図データとの重ね合わせによる候補で、地番の断定ではありません。利用状況(衛星推定)は衛星画像の植生指数(NDVI)から非耕作の可能性を推定したベータ機能で、ハウス栽培や水張り時期などで誤判定があり得ます。いずれも「先に現地・窓口で確認する区画を選ぶ」ための目安として使い、確定は公的情報と現地確認で行ってください。整備状況は県によって異なります。

再エネ(営農型太陽光)の用地探しでも農地ナビと併用できますか?

できます。候補地スクリーニングの「再エネ: 用地一次スクリーニング」プリセットで、農振/農用地区域・都市計画区域・傾斜・災害想定・接道・冬季日照・まとまり・利用状況の条件ごとに一致/要確認を一覧化し、候補をCSVで整理できます。ただし転用の可否や農地区分はジオ農地では判定しません。候補ごとに農地ナビで公的情報を確認し、農業委員会・市町村の農政担当課に相談してください。

参考: 農林水産省「eMAFF農地ナビ」 (公的な農地台帳の情報は同サイトでご確認ください。本記事は同サイトのデータを転載・加工していません)。 ジオ農地の検索条件は筆ポリゴン(農林水産省統計部)、国土数値情報(国土交通省)、登記所備付地図データ(法務省)、 農林水産省統計部「地域の農業を見て・知って・活かすDB(2025年農林業センサス、地域計画、令和3年集落営農実態調査)」 等の公的オープンデータを加工して作成した参考情報で、実際の筆界・権利関係・最新状況を示すものではありません。 各条件の出典はデータ整備状況に記載しています。

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。個別の手続きは必ず市町村の農業委員会等の窓口でご確認ください。